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以前書いたように，うちの奥さんは，蕎麦がきが大好きなようです。食べ物に好き嫌いがあるのは当たり前だけれども，蕎麦がきは結構くせものです。
ご存知のように，蕎麦がきは煮立ったお湯に蕎麦粉を入れて，一気にかき混ぜるとできあがるという，至極単純な食べ物です。ただし，実際に作るとなると体力を要する男の料理といえます。お湯を多くいれるとかき混ぜるのは簡単ですが，食べられたものではありません。適量のお湯に蕎麦粉を入れて，かき混ぜ始めると，最初はよいのですが，急激に固くなります。ここで止めてしまうと，粉っぽいまずい蕎麦がきが出来上がります。固くなったところで，さらに練り上げることで，口当たりの滑らかな美味しい蕎麦がきが完成します。
初めて蕎麦がきを作ったときは，全くうまくいきませんでした。蕎麦屋で蕎麦粉を買うときに，どのように蕎麦がきを作ればよいかきいたのですが，割り箸を２〜３本束ねてかき混ぜればよいという答えでした。ところがこれが大嘘で，とてもではないが固くてかき混ぜられません。大きな竹製のへらを使うようになってから，美味しい蕎麦がきが作れるようになりました。こんな単純な食べ物でも，それようの道具が必要なのだと実感しています。
通常は，わさび醤油で食べます。意外に美味しく，お酒の肴にはもってこいのものです。ただし，結構腹に溜まりますので，食べ過ぎると大変です。
甘いもの好きの人は，小豆の餡をからめても結構いけます。食後のデザートにもなる優れものといえます（？）。
さて，妻が蕎麦粉を買う蕎麦屋は「紅がら」という手打ち蕎麦の店です。以前は結構気に入っていたのですが，蕎麦が柔らかいので最近はいかなくなったところです。
お店が辻堂にあり，湘南バイパス沿いにあるので，藤沢や江ノ島方面に出かけたときに，買って帰るのに都合がよいので，買い求めているようです。ここでは，生蕎麦も売っています。ただし，１人前800円ですから，店で食べても変わらない値段です。
昼飯に再度出かけるのが面倒な場合に買ってくるようで，その時には私が麺を茹でる係りになります。ただし，妻の言うところでは，生蕎麦の茹で方については，店の奥さんから講釈されたとのことです。曰く，大量のお湯で２束ずつ茹でること，はしでかき混ぜないこと，差し水はしないこと，茹でる時間は２分以内とすること，などです。
講釈に従って，寸胴に水を入れ十分に沸騰させ，２人前を手早く入れます。一旦，沸騰していたお湯がおさまり，再度沸騰しだしたら，せいぜい30秒程度でお湯から蕎麦をざるにあげ，ボウルに流水をためながら，十分に水洗いをします。店の麺つゆがついているので，それに刻みねぎとわさびで頂きます。
大体，紅がらの蕎麦はもうだめだと思っていたので，これが思いのほか美味しいのには，二人とも驚いてしまいました。つゆはやや甘目ですが，ちょっとつけて食べる分には，それほど気になるほどではありません。
問題は，店で食べる蕎麦よりも，自分たちが茹でた蕎麦の方が腰があり，しゃっきとして美味しくなっていることです。
店のよりも美味しい蕎麦になるということは，一体どういうことなのでしょうか。蕎麦自体はちゃんと仕上がっているのですから，それから後の処理に問題があることになります。
茹でる時間が長すぎる，しっかり水洗いしない，ちゃんと茹でているが客の前に運ぶのに時間がかかっている，のどれかでしょう。店にはかなり年寄りが多いようなので，もしかすると柔らか目に茹でているのかもしれません。ともかく，これは店の自慢にはならないでしょう。
店で食べた蕎麦が美味しくなくても，生蕎麦を買う価値がある場合もたまにはあるのです。（4/27/98)
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