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最近もっとも気に入っている蕎麦屋は，茅ヶ崎の「八十八」という店です。ここは，茅ヶ崎駅から見て徳洲会病院の裏手にあり，我家からだと徒歩で20分程度の場所にあります。
この地に移ってから，鎌倉，平塚，大磯あたりの蕎麦屋，鰻屋を中心に，色々なお店を探検しました。蕎麦屋についていえば，有名だけれども，大した事はなく，態度の大きな店や，蕎麦はよいが麺つゆが甘い店など様々です。
おもしろいのは，せいろなどを頼むと生わさびを付けて出し，客が自分でわさびをする店がたまにあります。何となくサービスがよいように思えますが，そういう店の蕎麦がすごくおいしかったことはありません。わさびをするのもある程度は技術がいりますから，客にそういう重要なことをさせる店は，私にはちょっと疑問です。
うちの奥さんは長野の出身なので，長野に行くたびに蕎麦を食べますが，蕎麦どころと言われる割には，あまり大したことはありません。戸隠，峠の茶屋，上田，善光寺周辺，戸倉あたりに限られますが，これは絶品というのになかなかあたりません。
その理由は，まず私が田舎蕎麦のような太い蕎麦が嫌いなことです。次に，麺つゆは，だしがきいた濃いものでなければならないと考えていることです。蕎麦をたっぷり麺つゆに浸してから食べる人をよく見かけますが，これは邪道です。ちょっとだけ蕎麦につゆをつけて食べなければ，蕎麦の味や風味が分からないと思うのですが。
概して，長野の麺つゆはあまりだしが取られておらず，かつ薄いものです。また最近の好みなのか，甘いつゆが多くて困ります。これは，長野だけでなく，食一般について，どこでもそういう傾向があるようです。
さて，八十八では飛魚の付け焼き，鴨焼きなどをまず頼みます。妻は蕎麦がきをよく注文します。これを肴に比良泉（最近は置いていない），出羽桜などを飲むのが至福のときです。大体，蕎麦屋や鰻屋でよい酒を置いている店は，よい店です。有名な店でもしょうもない酒しか置いていない店は，しょうもない店です。地方の純米吟醸酒が置いてあれば，それだけで行く価値があるというものです。
酒を飲み終わると，私はいつもせいろを注文します。妻はからみ蕎が好みのようです。あっというまに食べてしまうので，通常はもう一枚せいろを注文します。初めから二枚せいろを注文すればよいのにと思うかもしれませんが，それはいけません。一度にせいろを二枚注文すると，一枚を食べ終わる頃には，すっかりもう一枚の蕎麦は延びてしまいます。面倒でも，食べ終わってから注文しないと，せっかく美味しい蕎麦であっても台無しになってしまいます。
ああ蕎麦が食べたくなった。（4/24/98)
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